「ヘリコプター」は「ヘリ・コプター」じゃない? 間違いがちな、言葉の正しい区切り方

雑学

たとえば、奈良にある有名な世界遺産「唐招提寺」。
言わずと知れた、唐から戒律を授けるために来日された鑑真が開いたお寺です。
字面を見ると、つい「『唐』から『招』いた僧に、『提』供したお『寺』」のように解釈したくなりますよね。

でも実は、サンスクリット語で「四方」を意味する「チャトゥル・ディシャ」が音写されて「拓闘提舎(たくとうだいしゃ)」などの漢字が当てられ、それが省略されて「招提(しょうだい)」になりました。

そしてこの「招提」は、「東西南北の四方から、あらゆる修行僧が集まる場所」という意味から転じて「修行のための道場」や「私寺(個人が建てたお寺)」を指す仏教用語になったんです。

つまり、唐招提寺は「唐・招提・寺」と区切るのが正解なんですね。

こうした「なんとなく思う区切り方とは違う言葉」は、私たちの身の回りにも意外とたくさん見つかります。

「ヘリコプター」はどこで区切る?

普段、「ヘリコプター」を「ヘリ」と略して呼ぶことが多いので、どうしても「ヘリ・コプター」だと思い込みがちなのですが、語源に分解するとそれが間違いであることが分かります。

  • ヘリコ(helico): 「螺旋(らせん)」という意味。DNAの二重螺旋構造などを指す「ヘリックス(helix)」と同じ語源です。
  • プター(pter): 「翼(羽)」という意味。空を飛ぶ恐竜「プテラノドン(pter-anodon=翼があって歯がない)」の「プテラ」と同じ語源です。

つまり、「ヘリコプター」の語源的な正しい区切り方は、「ヘリコ・プター(helico-pter)」なんですね。
「ヘリコプター」とは、「螺旋状に回転する翼(らせんのつばさ)」という、その機体の特徴をそのまま表した名前なんです。

では、「キリマンジャロ」は?

続いて、コーヒー豆でもおなじみの、アフリカの名峰「キリマンジャロ」。

なんとなく語呂的に「キリ・マンジャロ」や「キリマン・ジャロ」と区切ってしまいがちですが、現地の言葉(スワヒリ語やチャガ語)に分解すると以下のようになります。

  • キリマ(Kilima): スワヒリ語で「山」や「丘」
  • ンジャロ(Njaro): チャガ語で「白さ」や「輝き」(諸説ありますが、頂上に万年雪をいただく姿からこの説が有力です)

つまり、正しい区切り方は「キリマ・ンジャロ(Kilima-njaro)」。
現地の言葉をつなぎ合わせると「白く輝く山」という、あの雪山の姿をそのまま表した美しい名前になります。

日本語の感覚だと、「ン」から始まる単語に馴染みがないので、どうしても「キリ・マンジャロ」や「キリマン・ジャロ」と区切りたくなってしまいます。
しかし、アフリカの言語には「ンゴロンゴロ自然保護区」や「ンジャメナ(チャドの首都)」のように、「ン」から始まる単語がごく自然に存在するため、彼らにとっては「キリマ・ンジャロ」と区切っても別に不自然ではないのでしょう。

自分の「フィルター」に気づく面白さ

私たちは、自分の中にある習慣や思い込みを通して世界を見ています。
しかし、そのフィルターを一度外し、言葉の本来のパーツを見つめ直してみると、そこには意外な語源や、言語の習慣が隠されてることに気付かされます。

たまにはふと立ち止まって、いつも聞き慣れている言葉の「正しい区切り方」を考えてみるのも面白いかもしれませんね。

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